肥満の病因解明に期待 - 食欲を抑え、糖利用を促進するニューロン発見
生理学研究所は、視床下部腹内側核の神経細胞において、SF1/Ad4BPニューロンを直接化学的に刺激すると、食欲を抑えて熱産生を高めると共に、骨格筋などの末梢組織においてインスリンの働きを高めて糖の利用を促進することを、マウスを用いて明らかにしたと発表した。糖の利用促進を行う一方で、肥満の原因となる白色脂肪細胞への糖の取り込みは促進しなかった。
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同研究は、自然科学研究機構生理学研究所の箕越靖彦教授、吉村由美子教授、小林憲太准教授、星薬科大学の塩田清二特任教授、九州大学大学院医学研究院および東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の小川佳宏教授らの共同研究グループによって行われた。研究結果は、2017年7月3日にアメリカ糖尿病学会学会誌「diabetes」のオンライン版に掲載された。
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骨格筋など末梢組織での糖の利用は、膵臓から分泌されるホルモン・インスリンによって促進される。だが、近年の研究によって、脳の中でも特に視床下部の脳領域の神経細胞が、単独或いはインスリンと協同して、末梢組織の糖の利用を促進することが明らかとなってきた。しかし、どの神経細胞が末梢組織の糖利用を促進するかは不明だった。
また、ヒトの体内の脂肪細胞で産生され、血中に分泌されるホルモン・レプチンは、主に視床下部の神経細胞(ニューロン)に作用を及ぼして、食欲を抑え、熱産生を高める。箕越教授の研究グループは、レプチンにはこれらの作用に加え、視床下部、中でも視床下部腹内側核の神経細胞に直接働き、骨格筋などの末梢組織においてインスリンの働きを高め、糖の利用を促進することを報告してきた。同研究グループではレプチンが視床下部腹内側核ニューロンに作用することで効果を発揮すると考えているが、その中にはさまざまな機能を持つ神経細胞があり、例えば糖尿病のように血糖を逆に上昇させる神経細胞も存在する。そのため、血糖を上昇させず、糖利用を促進する視床下部腹内側核ニューロンを明らかにすることが必要となる。
http://ulog.u.nosv.org/item/adental/1499181104