抗がん剤による口内炎や味覚異常 学会 充実へ専門資格認定も

athena

2017年08月31日 16:32

 抗がん剤治療をするがん患者は、口内炎や味覚異常など口の中に副作用が現れることが多い。症状によっては治療に影響することもあるが、歯科医師や歯科衛生士が常勤する病院は少なく、医療の質に格差があるのが現状だ。日本口腔(こうくう)ケア学会は、独自の認定制度を設けるなどして、がん治療における口腔ケアの重要性を訴える一方、専門的な医療従事者や施設の拡大に努めている。(編集委員・安藤明夫)
根管長測定器

 愛知県の公務員男性(59)は、6年前に白血病を発症し、名古屋市瑞穂区の名古屋市立大病院で骨髄移植手術を受けた。根管治療機器

 手術から1週間後に軽い口内炎の症状が出た。移植の前処置で投与された抗がん剤の副作用だった。血液内科から連絡を受けた歯科医師が診察し、患部を保護するマウスピースを作製。男性は痛みを感じずに飲食できるようになり、順調に回復した。

 男性は手術前に院内の歯科口腔外科で、毎食後の歯磨きと消毒薬によるうがいを指導されていた。退院後にかかりつけの歯科に行くと「抗がん剤を大量投与された患者さんで、こんなに歯と歯茎がきれいな人は初めて」と驚かれたという。元気になった男性は、今もマウスピースをお守りにしている。

 日本口腔ケア学会の副理事長を務める夏目長門(ながと)・愛知学院大歯学部教授(60)によれば、抗がん剤を使うがん患者の口腔ケアは▽事前に歯や歯茎の状態を点検し、必要なら歯科治療を先に済ませる▽歯磨き、うがいなどのセルフケアを指導する▽副作用の症状が出れば、免疫状態などを主治医と相談しながら、歯科治療を進める−などが基本。名市大病院は手順通りのチーム医療を進めた形だが、それができる病院は多くはない。「全国に約7千ある病院の中で、歯科があるのは23%。“無歯科医村”といわれる状況です」と夏目教授は嘆く。

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