口唇口蓋裂診療隊 25年目のベトナム派遣

athena

2018年02月08日 12:24

 NPO法人「日本口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)協会」(事務局・名古屋市千種区)の診療隊がベトナム・ベンチェ省で無償手術を始めて25年。全国の口腔(こうくう)外科医や看護師ら48人が参加した昨年12月の派遣では、現地に根付いた支援の新たな芽吹きも見て取れた。根管長測定器

 「お母さんに抱っこしてもらうのが一番。これで一気におとなしくなる」。診療隊が活動するグエンディンチュー病院。手術後の患者が運び込まれる回復室で、中部大教授の小児科医、馬場礼三さん(61)が笑った。麻酔からさめて泣いていた生後8カ月の男の子ファン・フー・クイちゃんが、母フンさん(34)の胸で安らかな顔を見せた。根管治療機器

 「こんなに小さくて手術は初めてだから昨夜は心配で。この子は寝ていたけど私は寝られなかった」。疲れた顔のフンさんが、やっとうれしそうに打ち明けた。次男クイちゃんは昨春にこの病院で産んだ。妊娠中に口唇裂が分かり悩んだが、診療隊のことを教わり、ずっと待っていたという。

 「どこのお母さんも一緒なんだなと思います」と派遣10年目の愛知学院大歯学部の口腔外科医、井村英人さん(39)。手術前はご飯ものどを通らない。気丈にしていても、無事に終わって安堵(あんど)と喜びで泣きだす人もいる。「治療の原点に立ち返る。保護者の不安を少しでも取り除くサポートが日本でもできれば」と話す。

 「アリガト」。おさげ髪のグエン・ティ・フィン・ユイちゃん(6つ)は、ベッドの上で覚えたばかりの日本語を繰り返し、手を振った。診察日の23日午前3時、姉に抱えられ、150キロ離れた自宅から母親のバイクで駆けつけた。一家は日雇いで生活が苦しく治療をあきらめかけたが、母が親戚に診療隊のことを聞き、治療につながった。

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